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令和3年度税制改正大綱の概要について

2020/12/17

令和2年12月10日に2021年度税制改正大綱が発表されました。
国民の利便性や生産性向上の観点から、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを推進するほか、グリーン化社会実現のための「2050年カーボンニュートラル」に向けた税制面の支援、コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直しなどが盛り込まれています。
本稿では、今回の税制改正大綱のうち大企業・投資法人等に影響が大きいと考えられる項目について、概要を説明します。

1.デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設
青色申告書を提出する法人が産業競争力強化法の改正を前提に同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行日から令和5年3月31日までの間に事業適応(仮称)の用に供するためのソフトウェアの新設等、事業適応(仮称)の用に供する機械装置、器具備品の取得又はその利用に係る繰延資産となる費用を支出した場合には、取得価額又は繰延資産の額※₁の30%の特別償却又は3%の税額控除※₂※₃との選択適用ができることとされました。
また、地方税について、特別償却については法人住民税及び法人事業税に、税額控除については中小企業者等に係る法人住民税に適用することとされました。

※₁ソフトウェアの取得価額及び繰延資産の額の合計額は300億円が上限となります。
※₂グループ外の事業者とデータ連携する場合には5%となります。
※₃カーボンニュートラルに向けた投資促進税制により控除される税額との合計で法人税額の20%を上限とします。

2.研究開発税制の見直し
試験研究費の総額に係る税額控除制度について、次の見直しが行われることとなりました。

①税額控除率の見直し
税額控除率が見直され、一定の増減試験研究費割合を超えるような積極的な研究開発投資をした企業については、増加インセンティブが強化される一方、税額控除率の下限が引き下げ(現行6%⇒改正案2%)られたことにより、一定の増減試験研究費割合を下回る企業については、税負担が増すような計算構造となりました。
②控除税額の上限の上乗せ措置の追加
令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上減少割合※₁が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額※₂を超える事業年度(一定の事業年度は除かれます。)の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せする措置が追加されました。

※₁基準年度日売上金額減少割合とは、当期の売上金額が令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度の売上金額に満たない場合のその満たない部分の金額のその最後に終了した事業年度の売上金額に対する割合をいいます。
※₂基準年度試験研究費の額は、令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度の試験研究費の額をいいます。

また、特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、対象となる特別試験研究費の額の範囲の追加等の見直しが行われました。
加えて、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲について、研究開発費として損金経理した金額で非試験研究用資産の取得価額に含まれるものが加えられ、クラウドサービスを利用したソフトウェア開発についても研究開発税制の対象となることとされました。

3.給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度の見直し
給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度について、現行の制度から新規に雇用した場合の税額控除へ見直されることとされました。
青色申告書を提出する法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、新規雇用者給与等支給額※₁※₃の新規雇用者比較給与等支給額※₂※₃に対する増加割合が2%以上であるときは、控除対象新規雇用者等支給額※₄の15%の税額控除ができる制度となることとされました※₅。

※₁国内の事業所において、新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者(支配関係のある法人から異動した者や海外から異動した者を除く)に対してその雇用した日から1年以内に支給される給与等の支給額をいいます。
※₂前期の新規雇用者給与等支給額をいいます。
※₃給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額について、雇用調整助成金及びこれに類する額は控除しないこととされます。
※₄国内の事業所において新たに雇用した者(支配関係のある法人から異動した者や海外から異動した者を除きます)に対してその雇用した日から1年以内に支給される給与等の支給額をいいます。
※₅設立事業年度は対象外となります。

また、地方税については付加価値割の課税標準から控除できることとされました。
4.繰越欠損金の控除上限の特例の創設
青色申告法人で、産業競争力強化法の改正法の施行日から同日以後1年を経過する日までの間に同法の事業適応計画(仮称)の認定を受け、その計画に従って同法の事業適応(仮称)を実施するものは、適用事業年度において特例対象欠損金額※₁を、欠損金の繰越控除前の所得の金額(その所得の50%を超える部分は累積投資残額※₂に達するまでの金額に限られます。)の範囲内で損金算入できることとなります。

※₁令和2年4月1日から令和3年4月1日までの期間内の日を含む事業年度において生じた青色欠損金額をいいます。
※₂事業適応計画による投資の額から既に本特例により欠損金の繰越控除前の所得の金額の50%を超えて損金算入した欠損金額に相当する金額を控除した金額をいいます。

5.株式対価M&Aを促進するための措置の創設
会社法に規定される株式交付により、法人が有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べられることとなります。
なお、対価として交付を受けた資産のうち株式交付親会社の株式の価額が80%以上である場合に限られます。
6.カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
菅内閣が掲げる「グリーン社会の実現」の方針に沿った新たな税制が新設されることとなりました。
カーボンニュートラルとは、CO2の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になることを指します。
産業競争力強化法の改正を前提に、同法の中長期環境適応計画 について認定を受けた青色申告書を提出する法人が、令和6年 3月31日までの間に、その中長期環境適応計画に記載された一定の設備の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額※₁の50%の特別償却と、その取得価額の5%の税額控除※₂※₃との選択適用ができることとされました。
地方税においては、上記選択適用ができることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除が中小企業者等に係る法人住民税に適用されます。

※₁対象資産の取得価額及び繰延資産の額の合計額は300億円が上限となります。
※₂温室効果ガスの削減に著しく資するものにあっては、10%となります。
※₃デジタルトランスフォーメーション投資促進税制により控除される税額との合計で法人税額の20%を上限とします。

7.税務関係書類における押印義務の見直し
これまで提出者等の押印をしなければならないこととされていた、次に掲げる税務関係書類以外の税務関係書類及び地方税関係書類について、押印を要しないこととされました。

①担保提供関係書類及び物納手続き関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付が求められる書類
②相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち、財産の分割の協議に関する書類

8.電子帳簿等保存制度の見直し
令和4年1月1日以後に保存等を開始する国税関係帳簿書類について、電磁的記録等による保存制度及びスキャナ保存制度における税務署長への事前承認が不要になり、スキャナ保存制度及び電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度におけるタイムスタンプの付与期間が現行の期間から記録事項の入力期間(最長約2か月以内)に延長されました。その他一定の要が見直しまたは廃止となりました。
また、令和4年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について、電子帳簿等保存制度に基づいて記録した事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税、重加算税の額に一定の措置が設けられました。
9.地方税共通納税システムの対象税目の拡大
令和5年度以後の課税分について、地方公共団体の収納事務を行う地方税共同機構が電子的に処理する特定徴収金の対象税目に固定資産税、都市計画税、自動車税種別割及び軽自動車税種別割が追加されます。
10.投資法人の導管性要件の一部改正
投資法人の導管性要件のうち、総資産のうちに特定資産の占める割合が50%を超えていることとする要件(保有資産要件)について、ファイナンス・リース取引に係る金銭債権が、その特定資産の範囲に含まれることとなります。
つまり、下記計算式の特定資産の範囲に、ファイナンス・リース取引に係る金銭債権を含めて判定することとなります。

11.不動産流通税関連の軽減措置の延長
・土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が2年間(令和5年3月31日まで)延長されます。
・投資法人、特定目的会社が特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が2年間(令和5年3月31日)延長されます。
・投資法人、特定目的会社が取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限が2年間(令和5年3月31日まで)延長されます。
12.土地に係る固定資産税の課税標準額等の据え置き、負担調整措置の継続
感染症により経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことにより、令和3年度に限り、土地の固定資産税・都市計画税の課税標準額を令和2年度と同額に据え置く措置が講じられます。ただし、固定資産税評価額が下がった場合には、当該固定資産税評価額が課税標準とされます。
また、固定資産税の急激な増加に対して段階的に税を引き上げる負担調整措置を令和3年度から令和5年度までの間、継続することとなります。
13.配電事業及び特定卸供給事業に係る各種取り扱いの創設
電気事業法の改正に伴い、新たにライセンスが創設されることとなった「配電事業」「特定卸供給事業」につき、従前の電気供給業に対する事業税率の適用、分割基準の取り扱い、事業所税の非課税措置と同様の取り扱いとされることとなります。

以上が簡単な概要となります。実務上の不明事項や疑問点がございましたら是非当グループまでお問い合わせください。

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